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#bootytune ジャケット カカセテ イタダキマシタ!!!

JUKEシーン ヲ インソツ スル#bootytune カラ ハツバイ D.J.Stak Chip / Juke Slide EP ノ ジャケット カカセテ イタダキマシタ‼︎‼︎!

 

ハツバイ ノ イキサツ ガ ヤバスギルッス

CHICAGO HOUSE マデ ツナガッテ イル DEEPナ セカイ!!!!!

 

http://bootytune.bandcamp.com/album/juke-slide-ep

 

 D.J.FulltonoとShinkaronのWeezy、そして僕がシカゴを訪れたのが2014年の夏。Juke FestやらBgzやら、たった1週間の滞在にもかかわらず、あまりに濃密なめくるめくシカゴ絵巻が繰り広げられたが、そのなかでも格別な体験だったのが、DJ Chip(aka D.J.STAK CHIP)の自宅訪問がかなったこと。 
 DJ Chipと言えばGhetto Houseの総本山「Dance Mania」から9枚ものシングルをリリースしている、文字通り後期Ghetto House界を代表する大御所の1人*。シカゴ・ローカルでの人気もすさまじく、高い知名度を誇っている。 
 現在でも彼の情報は少なく、その素性はYoutubeの公式やFacebookでの活動からしかかいま見るしかなかった。そこでアップされるのはすし詰めになったフロアで150BPMのトラックに合わせマイクで歌う彼の姿や、ブーティな黒人女性によるセクシーなダンス、学校の体育館で大勢が彼のトラックに合わせて踊る様子ばかり。公開される写真も札束や酒を持ったお決まりの黒人イメージ画像が多く、(悪いクセだが一方的な思い込みで)ゲットーかつサグな印象が先行し、正直会いに行くのはかなり勇気がいった。 
 ディープサウスサイド、119丁目。住所からカーナビが導いた行き先は、サグなイメージとは雲泥の差の閑静な住宅街だった。この場所がどういうエリアなのかは分からないが、カーナビが間違えたのかと思うほど落ち着いた雰囲気。芝生が青いウッディな家の前に車を止めると、Chipが迎えに出てきてくれた。「おおおお!Dance Maniaのレーベル面の写真と同じだ!」。長めのドレッドをなびかせたChipの姿が、そこにあった。 
 中へ迎え入れてくれたあと、リビングに座しながら作曲の作法、当時のシーンや現在のFootwork勢との関係などについても率直に話してくれた。彼が手掛けているのは、いわゆる昨今注目されているFootworkビートではなく、ハウスビートのJuke。「俺にはFootworkは速すぎるし、複雑すぎる。女の子や子供、大人が踊れない。俺はパーティを盛り上げるトラックを作るんだ」と語り、最後はMPCとマイクを交えたJukeライブまで実演してくれた。 
「D.J.FulltonoはYoutubeにしかアップされていない君のJuke Slideをいつも掛けている。あれは本当にクラシックなのに、なぜリリースされていないんだ?」と聞くと、「プロモだけあったんだけど、その前にDance Maniaが倒産しちゃったんだ」。 それを聞いた僕もFulltonoも「あれほどのローカルヒットがリリースされないわけがないわね~」と勝手に納得しては、さらに質問をぶつけていった。結局、突然始まったインタビューは延々3時間以上続いたが、僕らの拙い英語に真剣に耳を傾けてくれた彼の姿は、思い描いていたChipのイメージとはまったく違うものだった。 
「ちょっとバックヤードへ行こう」。話の途中、彼に誘われ、裏庭へと向かった。古びた倉庫の軋むドアを開けると、そこには芝刈り機とともにアナログレコードがズラリと並んでいた。「いまはもっぱらPCDJだから、アナログはもう使わないんだ」。粗っぽく整理されたレコードの山をガサガサと物色し、彼はおもむろに真っ白なプロモ盤を1枚Fulltonoに手渡した。「これ、Dance Maniaの283番、Juke Slideのプロモ。俺も1枚しか持ってないけど君にやるよ」。 
 うわあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!! マジですか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 
 リアルに鳥肌がゾワっと立ち上がった。ふと横を見ると、プロモ盤を手にしたFulltonoが、これまで見たことのないような表情をしている。嘘みたいだがまさに「アワワ・・・・・・」としか表現できない感覚。 
 世界中のほとんどの人にとって、このレコードの価値など、ゼロも同然だろうが、その価値がわかるものにとっては余りにも重い1枚だった。通常Dance Maniaのプロモは100枚前後だが、最後期は予算の問題から50枚しかプレスされなかった。RP BooのDM285番にしてもそうだが、実際手にした人間は現地のDJとごくごくわずかな人間だけだ。まして、Discogsでもつい最近まで283は欠番扱いで、アーティスト名もタイトルもまったく不明だった、正真正銘の幻の1枚なのだ。 
 衝撃のプレゼント交換(彼にBooty TuneのTシャツを差し上げた)を経て、日も暮れ始めたころ、4人で家近くの「Harold's Chicken Shack」に車で繰り出した。ラード風味のゲットーなフライドチキンをたらふくごちそうになった後も、Ghetto House話に花が咲いた。初めて会うのに初めてじゃないような感覚。音楽の力をまざまざと感じさせられた。 
 そして、彼は帰り際、玄関口で僕らを見送りながらこう言った。 
 「君らが出したいならJuke Slideを出せばいいよ」 
 耳を疑うほどうれしい言葉だった。しかし、その一方で、この曲をリリースする重みと責任に、身が引き締まる思いがした。このシングルには、そのとき彼からもらった未発表が収録されている。多くが1999~2008年頃に作られた、シカゴから表に出ることのなかった、全盛期のJuke/初期Footworkだ。 
 Chipを聞いて、もしあなたに感じるモノがあったら、ぜひいろんなGhetto House、そしてJukeを聴いて欲しい。Footworkとはまた違う豊かな世界がそこには広がっている。実験的だからいいのではない。ノレるからいい。楽しいからいい。Juke/Footworkの魅力が理性や論理を乗り越えられるとするなら、RashadやRP Booの音楽とChipの音楽の間に何の差もない。Juke/Footworkの可能性は僕らが思うよりずっと幅広く、深い。 

 

 

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